インバウンドマーケットから見えてくる体験の重要性

インバウンド

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今回はインバウンド消費といった時事ネタから書いてみようと思います。

2020年度インバウンド需要予測と客室供給数予測

業界の方々は既に周知のこととは存じておりますが、JNTO(日本政府観光局)の直近のデータ(平成30年12月度)では以下のようなデータがございます。


2018 年 12 月の訪日外客数は、前年同月比 4.4%増の 263 万 2 千人。2017 年 12 月の 252 万 1 千人 を約 11 万人以上上回り、12 月として過去最高を記録した。

2018 年の訪日外客数は、前年比 8.7%増の 3,119 万 2 千人で、JNTO が統計を取り始めた 1964 年 以降、最多となった。


JNTO(日本政府観光局) 2018年12月推計値
(平成31年1月16日発表)

これらのデータを詳しく見てみますと、2017年~2018年のたった1年間で、訪日外客数の数は東アジアを中心に、8.7%も増加していることが分かります。

日本政府が目標としている2020年の訪日外国人数は4,000万人です。皆さまの業界では、それらインバウンド増加に伴うご対応で、客室の増設を進めていらっしゃる法人様が多いかと思います。

たとえば、東京23区・大阪市・京都市の三大マーケットでは2017年から2020年にかけ、既存客室数の38%に相当する新規供給が予定されています。その結果として、以下のような予測が立てられております。

このデータから予測しますと、単なる宿泊施設としての需要は、京阪から徐々に薄れていくと考えられます。

ただし、2020年の英・ロンドン五輪開催時の推移を参考にすると、五輪開催時期の8月には日本人が東京に集中して宿泊することで、東京において客室不足が発生。また、五輪開催時期に混雑を避けて減少した外国人宿泊者が11月~12月にシフトすることで、この時期にも東京で客室不足が深刻化すると考えられています。(みずほ総研調査データより)

ただ実際には、その際のインバウンド需要は、九州や沖縄、大阪など外国人需要のシェアが大きい地域を中心に、リゾート・シティタイプのホテルに需要が集中し、東京五輪開催による大きな変動はないのではないかという予測もあります。

とはいえ、東京五輪開催のみではなく、米国など世界の景気減速による需要下ブレリスクが起こるといった予測もあり、いずれは宿泊以外の部分で旅行者のニーズに応える為に、「体験」の質を高める機能が必要となってくるのではないかと考えております。

国際観光旅客税の活用と”体験型”施設の具現化

政府が「観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るための恒久的な財源を確保するため」として、1月7日から船舶や航空機を使い出国する旅客を対象に「国際観光旅客税」(出国税)を適用開始したことはご存じでしょうか。外国人、日本人の出国ごとに千円を徴収する新しい税制です。
詳しくは国税庁のWebサイトを見て頂くとして、これにより、政府の2019年度予算案には、国際観光旅客税を財源とする予算485億円が計上されており、それに伴い、「観光庁3分野施策」が施行されることになっています。

様々な施策がありますが、インバウンドのお客様へ、より円滑な出入国や滞在環境をご提供することで、さらなる日本文化の付加価値を体験していただくという内容が中核ではないかと感じております。

以下は私が作成した宿泊施設のカテゴライズ表です。縦軸が付加価値の度合、横軸が体験型の度合となっており、それぞれのカテゴリーに既存の宿泊施設をカテゴライズしております。

※クルーズ船での宿泊は、東京五輪開催時の宿泊施設として掲載しております。

それぞれの軸で生き残りの施策は異なると思いますが、将来の生き残りをかけて、それぞれが他の軸へ進出してくることも考え得ることです。
そのような将来に備えて、今何をすべきかを真剣に考え、行動していくことが、わが社にとって、皆さまとの共存共栄に貢献することと考えております。