現在、省エネ政策の一環として使用電力が少ないLED照明の利用が推進されています。
2016年に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、2030年時点でLED照明の100%設置が普及目標とされ、照明機器メーカーは蛍光灯・白熱灯の生産を終了・縮小しています。
オフィスや自宅など皆さんの身近な場所でも、蛍光灯や白熱灯からLEDへの切り替えが進んでいるのではないでしょうか。
当社にもオフィスやホテルの照明設備についてお問い合わせや、改修の相談が増えています。
そこで改めてLED照明について、メリット・デメリットを解説します!
この記事の目次
LED照明のメリット
消費電力量を減らすことができる
シミュレーションしてみました
例えば以下の場合でハロゲンからLEDに入れ替えるとすると…
・総フロア面積500㎡のオフィス
・132灯のダウンライトが設置されている
・1日あたり8時間、年間320日明かりをつける
消費電力をハロゲンは150W・LEDは50W、電気代は16円/kWhとすると、年間540,672円削減できます!
※計算方法
ハロゲン
年間消費電力:150W×8時間×320日×132灯=50,688kw
年間コスト:50,688kw×16円/kWh=811,008円
LED
年間消費電力:50W×8時間×320日×132灯=16,896kw
年間コスト:16,896kw×16円/kWh=年間270,336円
総電気代削減量
(ハロゲン)811,008円―(LED)270,336円=年間540,672円のマイナス!
このように消費電力が抑えられることから、照明を間引いていたオフィスで、設置台数を当初の数まで増やすことができたという事例もあります。間引きのため明るさがまばらだったオフィスが、満遍なく明るさを確保できたのです。
さらに皆さんご存知の通り、LEDは点灯時間が長寿命です。
白熱電球の寿命は1,000時間程度と言われていますが、LEDは40,000時間程度。入れ替えの回数は減り、作業の手間も無くなるため更なるランニングコストの削減に繋がります。
調光・調色機能で利用シーンにあわせた環境を作ることができる
LED電球は調光・調色機能を備えたものが多く発売されています。光の色を変えることで、シーンや時間に合った明かりを作ることができます。
私たちの身体は、元々太陽の光と連動して約24時間周期で覚醒・リラックスを繰り返す生活リズムが備わっています。これを「サーカディアン・リズム」といい、オフィス照明に活用する企業も出てきています。
「サーカディアン・リズム」の概念図
人の生活リズムに応じて、昼間は色温度の高い青白い光で集中力を高め、夕方からは色温度の低いオレンジ系の光でリラックス効果をもたらします。
これにより知的生産性や快適性が向上し、業務効率化が図れると考えられています。
照明の色温度によって集中力を高めたり、リラックス効果があることは、こちらの記事でも説明しています。
参考 LED照明の調光・調色機能で参加者の気分をコントロール!?空間創造×エンジニアリング
またフルカラータイプのものを選べば、調整次第でどのような色の光でも作り出すことができ、空間演出の幅が広がります。
このように、LED照明の演出性の高さは大きな魅力です。
LED照明のデメリット
配光角が狭くなるので照明の周囲が暗く感じる
LEDの光は直進性が強く、照明の真下は明るくても電球が向いていない方向は暗くなってしまうことがあります。
配光角(光の広がる角度)が大きい電球もあるので、設置場所の広さや用途に合わせて製品を選ぶ必要があります。
ノイズが発生して周辺の機器に影響を与えることがある
10年ほど前、とある商店街の街路灯の電球をLEDに変えたところ、テレビやラジオ、Wi-Fiが繋がらなくなるという事例が発生して話題になりました。
基本的には昨今の照明器具は、外へノイズが漏れ出ない構造になっています。どうしても影響が出てしまう場合は、対策用の部材もあるのでそれらを追加することで改善可能です。
イベント映像演出でLEDディスプレイを導入し始めた頃の話。
LEDディスプレイの前に立ってワイヤレスマイクを使うと、マイクの音にノイズが入ることがありました。これもLED照明と同様、ノイズ対策がなされていないことが原因でした。
現在は改善されていますが、LED照明やLEDディスプレイがノイズを生むことは知っておくと役に立つかもしれません。
まとめ
LED照明は消費電力の削減によってコストカットを実現しますが、それだけではない様々なメリットがあると考えます。
例えばLED電球の種類が年々増えていくことで、空間演出として活用できる幅が広がったり、これまでにはない明かりの作り方もできます。
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