ハウリングとは、マイクとスピーカーの音が循環することで発生する音声トラブルの一つです。
Web会議やオンラインセミナー、イベント会場やカラオケルームなど、マイクを使う場面では誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
本記事では、ハウリングの基本的な仕組みを整理したうえで、「なぜ起きるのか」「どうすれば防げるのか」をWeb会議・講義・会議やイベントといった用途別に分かりやすく解説します。
これから重要な会議や講義を控えている方、音声トラブルで失敗したくない方はぜひ参考にしてください!
この記事の目次
ハウリングとは?
ハウリングとは、マイクが拾った音がスピーカーから出力され、その音を再びマイクが拾うことで音が循環し、徐々に増幅されていく現象です。
音のループが繰り返されることで、特定の周波数が強調され、「キーン」「ピー」といった不快な音が発生します。
これは音響の専門用語では「フィードバック」とも呼ばれ、特別な機材トラブルがなくても、マイクとスピーカーが同じ空間にあるだけで起こる可能性があります。
Web会議、講義、会議、イベントなど、マイクを使うあらゆる場面で注意が必要な現象です。

ハウリングのメカニズム
①マイクを通して音声が音響機器へ
▼
②音響機器を通って音声が増幅
▼
③スピーカーから出力
▼
④スピーカーから出た音を再度マイクが拾ってしまう
▼
⑤再度、音声が音響機器へ送られる
▼
⑥再度、音声が増幅される
▼
⑦再度、スピーカーから出力される
▼
⑧またその音をマイクが拾ってしまう!
ハウリングが起こる主な原因
ハウリングが発生する主な原因は、音の出力と入力が近い距離で行われていることにあります。
代表的な原因は以下の通りです。
・マイクとスピーカーの距離が近い
・スピーカーの音量が大きすぎる
・無指向性マイクを使用している
・同じ空間で複数のマイクやスピーカーが同時に動作している
・会場の反響が強く、音が回り込みやすい
特に無指向性マイクは周囲の音を広く拾う特性があるため、スピーカーから出た音も拾いやすく、ハウリングが起こりやすくなります。
また、部屋の反響が強い環境や、機材の配置が適切でない場合も音が循環しやすくなります。
マイクの指向性とは、どの方向から音を集音するかを指します。
例えばハンドマイクは正面からの集音感度が高くなっていますが、パソコンに内蔵されているマイクは360度から音を拾う「無指向性」がほとんどです。
マイクでハウリングが起こりやすいケース
マイクを使用する場面では、以下のような状況でハウリングが発生しやすくなります。
・パソコンやタブレットの内蔵マイクを使用している
・マイクとスピーカーが同じ方向を向いている
・スピーカーのすぐ近くにマイクを置いている
・同じ空間で複数の端末・マイクが稼働している
特に会議室や教室などでは、無意識のうちにスピーカーの正面にマイクを置いてしまうケースが多く、ハウリングの原因になりがちです。
マイクとスピーカーの位置関係を意識するだけでも、発生リスクを下げることができます。
Web会議でハウリングが起こる原因と対策
Web会議では、比較的簡単な対策でハウリングを防げるケースが多くあります。
よくある原因としては、同じ部屋から複数台のパソコンで会議に参加していることが挙げられます。
それぞれの端末のマイクとスピーカーが音を拾い合い、音声が循環してしまいます。
主な対策は以下の通りです。
・イヤホンマイクやヘッドセットを使用する
・発言していないときはマイクをミュートにする
・同じ空間から複数台で参加しない
・Web会議ツールのエコーキャンセル機能を活用する
これらを徹底することで、Web会議中のハウリングは多くの場合防ぐことができます。
一方で、参加人数が多い場合や会議時間が長い場合、内蔵マイクやイヤホンでは対応しきれないこともあります。
そのような場合には、会議室全体をカバーできるシーリングマイクを使用することも、ハウリング対策として有効です。
シーリングマイクは、天井から会議室全体の音声を拾うため、マイク位置や置き場所によるトラブルを減らせる点が特長です。
講義・会議・イベントでのハウリング対策
講義や社内会議、イベントなど、参加人数が多い場面ではWeb会議よりもハウリングが起こりやすくなります。
会場内のスピーカー音がマイクに入り、それがオンライン配信や拡声を通じて再び会場に戻ることで、音のループが発生するためです。
こうした環境では、以下のような対策が重要になります。
・スピーカーとマイクの配置を適切に設計する
・指向性のあるマイクを使用する
・必要に応じて「N-1(エヌマイナスワン)」処理を行い、特定の音声を返さない構成にする
・会場規模に合った音響機材を選定する
人数や会場規模が大きくなるほど、単純な設定変更だけでは対応しきれないケースが増えていきます。
設定だけでは解決できないハウリングもある
少人数のWeb会議であれば、機材の使い方や設定変更だけでハウリングを防げることもあります。
しかし、大規模な会議や講義、イベントでは、音響構成そのものを見直さなければ根本的な解決が難しい場合も少なくありません。
本番直前にトラブルが発生すると、進行の遅れや参加者への印象悪化につながることもあります。
事前に環境を整理し、適切な音響設計を行うことが、トラブル防止には重要です。
\音響環境でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください!/
リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド会議の場合
現在では、会議室やホールに一部の参加者が集まり、その他の参加者はオンラインで参加する「ハイブリッド会議」が一般的な開催形式となっています。
社内会議や研修、講義、説明会など、対面とオンラインを併用する場面は年々増えています。
ハイブリッド会議では、オンライン参加者の音声を会場内で拡声する必要がありますが、その運用方法によってはハウリングが発生してしまうことがあります。

ハイブリット会議でのハウリングのメカニズム
ハイブリッド会議でハウリングが起こる流れは、次のような音声の循環が原因です。
①オンラインの音声が、ホストPCから音響機器へ送られる
▼
②音響機器で音声が増幅され、スピーカーから会場内に出力
▼
③スピーカーから出た音を、会場内のマイクが拾ってしまう
▼
④マイクで拾った音声が再び音響機器経由でホストPCへ
▼
⑤音声がオンライン側へ返り、遅れて自分の声が戻ってくる
▼
⑥このループが繰り返されることで、ハウリングが発生
という現象が起こってしまいます。
特に⑤はオンライン上のため、ハウリングした音がはっきりとリモート先へ伝わってしまいます。
解決策:音の流れの悪循環を断つ「エヌマイナスワン」回線
ハイブリッド会議におけるハウリング対策はいくつかありますが、代表的な方法の一つが「N-1(エヌマイナスワン)」と呼ばれる音声処理です。
通称「マイナスワン」とも呼ばれ、特定の音声を除外した状態で音声信号を返す仕組みを指します。

ハイブリッド会議では、オンライン参加者の音声だけを除外した状態でホストPCへ戻すことで、音声のループを防ぎます。
専用のミキサーや音響機器を使用し、会場音声とオンライン音声を分けて制御することで、ハウリングが発生しやすい経路のみを遮断します。
これにより、必要な音声だけをクリアにオンラインへ送信することが可能になります。
なお、「N-1」を適切に行うためには、対応した機材や細かな音声設定、運用を理解したオペレーションが必要になる場合があります。
「大人数の会議やイベントでハウリングが不安」
「重要な講義や配信を控えており、音声トラブルを避けたい」
このような場合は、環境や用途に合わせた音響設計を事前に検討することをおすすめします。
機材の選定や配置、運用方法を整理することで、ハウリングのリスクを大きく下げることが可能です。
電音エンジニアリングでは、Web会議から講義、イベントまで、用途に応じた音響環境の相談を承っています。
音声トラブルを未然に防ぎたい場合は、お気軽にお問い合わせください。









