明治神宮野球場様のスタンドに設定されているスピーカーの更新工事を行いました。新たに設定したスピーカーは全40台。機器入れ替えと調整で、3週間にわたって作業を行いました。
この記事の目次
施設概要
依頼内容
● 古くなったスピーカーを新しいものに入れ替えたい
● 球場外への音漏れを軽減してほしい
当社からの提案
● 40台の指向性スピーカーを導入
● 入念な音量計測を行い、球場内では以前と変わらないボリュームを維持しながらも球場外に音漏れしにくい設定へ変更
更新工事の流れ
既存スピーカーの取り外し
スピーカーは防球ネット・バックネットのポールに取り付けられています。ポールを順にまわり、スピーカーを交換していきました。
新しいスピーカーの取り付け
スピーカーの取り付けは、足場に上がるスタンド側のスタッフと球場外側のスタッフ、地上部隊の3つのチームが連携しながらの作業となりました。
地上部隊はコードや付属品を接続してから、ポール上部の設置箇所にスピーカーを持ち上げます。その後、スタンドと球場外のスタッフが両側から金具・本体をポールに固定し、スピーカーの取り付けを進めていきました。
スタンド側は足場を組み立て、野球場の外側からは高所作業車を使って実施しました。スピーカー1台毎に足場・高所作業車を移動しながらの工事となり、2週間にわたって40台すべてのスピーカー取り付けを終えました。
音響専門オペレーターによる調整
スピーカーの取り付け後、チューニングを行いました。
40台のスピーカーを、1塁側の内野・外野、3塁側の内野・外野、メインスタンド、メインスタンド2階のブロックに分け、1ブロックずつ実施しました。
当社の音響オペレーターが専用機器で音圧と周波数を計測して、PCで音の波形を確認しながら調整作業を行いました。球場外への音漏れを軽減しながら、球場内には均一な音を届けられるように配慮しました。
この時に計測した音量数値は、作業報告として明治神宮野球場の担当者様に書面で提出しました。
音の速さは約340m/秒。広い野球場においては、近いスピーカーからの音が先に聞こえ、遠いスピーカーからの音は遅れてきこえてしまう、という現象が起こります。
特にメインスタンド2階のスピーカーは、他のスピーカーより観客席との距離が近い場所にも設置されています。音が2重に聞こえてしまわないよう、特定のスピーカーから出す音をあえて遅延(ディレイ)させることで対応しました。
担当者コメント
スピーカー本体の設置箇所が球場内の客席側にあり高所であるため、客席側からは移動式足場を使用、外側からは高所作業車を使用して落下に細心の注意を払い作業を実施しました。
また、事前に設計段階で計算された最適なスピーカーの確度が決まっていたため、デジタル水平器を使用し、水平・垂直・勾配などを計測しながらの正確に作業を行いました。
様々制約がある中での音響調整となりましたが、球場外への音漏れに配慮しながら明瞭度の高い音を届けられるよう調整しました。
今まで野球場の調整室に入ったことが無かったため、貴重な経験となりました。
当社はスポーツ施設や屋内・屋外を問わず大規模空間においての音響システム提案が可能です。
設備の導入・更新を検討されている方は、こちらのフォームからお気軽にご相談ください。