EP.33 音だけでも伝わること

目の不自由な新郎新婦

披露宴を行うので、音響・照明演出の内容を決めたいのですが…

結婚式を挙げる方の中には、身体の不自由な方もいらっしゃいます。
私も目の不自由な新郎新婦の披露宴に関わったことがありました。

まずは新郎新婦とプランナー、私で打合せです。
いつもは書面や写真で披露宴の進行をお伝えするのですが、今回は言葉だけで説明することになるため、不安もありました…

そこで、事前に説明を練習することに。
目をつむりながら自分で喋り、新郎新婦が言葉からイメージできるか、確認していきました。

また、披露宴で使う曲決めも行うため、私たちが用意しているCD音源は全て打合せの場に用意。
紙のリストでお見せできないので、曲は全て聞くことができるようにしたのです。

打合せ当日は、新郎新婦様が盲導犬と一緒にいらっしゃることと、私がじっくりお話したかったこともあり、ホテル様にお願いして個室を用意。

打合せの時間もいつもより長めでお願いし、いよいよ打合せがスタートしました。

まずは披露宴のイメージを具体化してもらうため、演出内容と新郎新婦様の動きを、言葉で説明していきます。

例えば入場時。


・入場時に流れる曲のどのタイミングで入口の扉が開くのか、曲の盛り上がりと秒数を伝えて動きをシミュレーション

・扉が開くとスポットライトが当たるため、肌で暖かさを感じること

・ゲストの方々は拍手で迎えて下さるので、笑顔でキメましょう!

…等々。


耳だけでなく肌で感じる情報と合わせて、披露宴の流れを伝えました。

万全の準備をしていたこともあり、曲決めはスムーズに終了。
しかし、照明演出については新郎新婦様は見ることができないからこそ、どんな内容なのか気にされている様子。
時間をかけて、細かく説明することにしました。

そして迎えた結婚式の当日。目の不自由なゲストもいらっしゃるため、会場のセッティングにも細心の注意を払います。
通路に機材を置かないことはもちろん、有線マイクのコードに手足をひっかけてしまうと危険なので、全てワイヤレスマイクを使用することにしていました。

打合せから機材のセッティング、本番中も注意点は沢山ありましたが、とても密に新郎新婦様と関わっていたことで思い入れも強く、忘れられない披露宴となりました。