屋外広告やイベント会場でよく目にするLEDビジョン。プロジェクターや液晶ディスプレイに変わる映像設備として普及しています。ここでは、LEDビジョンの仕組みや種類、プロジェクター・ディスプレイとの違いを解説します。
この記事の目次
LEDビジョンとは
LED素子が組み合わされたLEDパネル
LEDビジョンは、フルカラーを表現するため赤・青・緑の3色のLED素子を使用しています。3色のLED素子ひとかたまりの単位を「1ピクセル」と呼んでいます。
このLED素子の集まりを数十センチのパネル状に組み合わせ、さらにそのパネルを組み合わせて大きな画面を作ります。
画面の形や大きさは、パネルの組み合わせ方次第で決められるためデザイン性の高さが特徴です。
またLED素子自体が発光するため、明るく鮮明な映像を映し出すことができます。外光や照明の影響を受けないため、屋外・屋内を問わず様々な場所で導入が進んでいます。
視認距離で決まるピクセルピッチ
LEDビジョンを形作るLED素子同士の間隔をピクセルピッチと呼び、1mmピッチ・3mmピッチ・5mmピッチ…のように表記されます。ピクセルピッチはLEDパネルのメーカーによって異なり、用途に応じて幅広く展開されています。
どのピクセルピッチのLEDパネルを使用するかは、視認距離を基準に決定します。
視認距離とは、画面に映る映像や文字を適切に見ることができる距離のことで、LEDビジョンの導入を決める際に画面の大きさと合わせて必ずヒアリングするポイントです。
ピッチが「狭い」場合
ピッチが広い場合と比較すると、画像が滑らかに見える。
ピッチが「広い」場合
画像の粗さが目立ってしまう。
ピクセルピッチが狭いほど一つの画面の中にあるLED素子の数が多くなるため、高画質な映像表現が可能になります。
近距離からLEDビジョンを見る場面、ピッチの広いパネルだと画面上にドッド(LED素子の粒)が見えてしまうため、ピッチの狭いLEDパネルを選定します。
また、スタジアムなどでLEDビジョンを導入する場合は、遠距離から映像を見るために利用されるケースがほとんどです。視認距離が長くなる場合には、ピッチの広いLEDパネルを選定します。
一般的に、視認距離の“1000分の1”がピクセルピッチの目安とされています。
例えば、3m離れた場所からLEDビジョンの画面を見る場合…
3,000mm(3m) ÷ 1,000 = 3mm となり、3mmピッチ前後のLEDパネルを使用することが適切だと分かります。
※算出したピクセルピッチの数値はあくまでも目安です。
ピクセルピッチ以外にも設置環境やメンテナンス方法に応じて最適なLEDパネルを選定します。
プロジェクター・ディスプレイとの比較
映像機器として代表的なプロジェクター・ディスプレイと、LEDビジョンの特長を比較します。
LEDビジョン
メリット
・コントラスト比が高く、明るく鮮明な映像を映し出すことができる
・パネルの組み合わせ方で画面サイズや形を決められる
・屋外用に防塵加工したモデルがある
・故障の場合、壊れたパネルのみ交換で修理が可能
デメリット
・LEDビジョンを常設する場合は壁面へ取り付けるため、部屋の内装・デザインに影響がでてしまう
・導入コストがプロジェクター・液晶ディスプレイに比べて高額
LEDビジョンならではの活用シーン
・導入場所は屋内・屋外を問わずに設置可能
・高リフレッシュレートでなめらかな映像を映し出せるため、一瞬も逃せないようなeスポーツ大会など
プロジェクター
メリット
・投影面があれば平面/立体問わず映像を投影できる
・昇降式のスクリーン・プロジェクター台を使用することで、必要な時のみ機材を設置、必要のない時には天井などに収納できる
デメリット
・外光や室内照明によっては映像が見づらくなることもある
・プロジェクターからスクリーンまでの投射距離が必要なため、人が通る場所には設置できない等・部屋のレイアウトによる制限が生じる
プロジェクターならではの活用シーン
プロジェクションマッピングなど、立体物や壁・床・天井を含めた空間全体の映像演出
液晶ディスプレイ
メリット
・周囲が明るい環境でもはっきりとした映像を見ることができる
・メーカーにより大小さまざまなサイズの機種が発売されている
・再生機能を搭載した機種では、映像プレーヤーを使用せずディスプレイ単体で映像の切り替え設定などが可能
デメリット
・大きな画面を作るためには、ディスプレイを組み合わせてマルチディスプレイとして設置する必要がある。ディスプレイ同士の繋ぎ目には枠があるため線が入っているように見えてしまう。
液晶ディスプレイならではの活用シーン
・近距離で映像を見る際に最適
・タッチパネル機能を搭載した機種を使い、ユーザーが操作・体験できるインタラクティブコンテンツとして利用できる
「施設への設置工事」と「イベントの仮設」どちらも対応可能です
設置工事の導入フロー
LEDビジョンの大きさやピッチなどの仕様から、運用方法や映像演出案も合わせてご提案いたします。
導入後の保守点検もお任せください。
LEDビジョンはLEDパネルの組み合わせです。故障した箇所のパネルだけを交換すれば、それ以外のパネルは使い続けることができます。
しかし、LEDパネルには製造段階で明るさや色調の“個体差”が生じているため注意が必要です。同じ明るさ・色調の設定にしたとしても、製造タイミングが違うLEDパネルでは、並べた時に微妙な“差”が出てしまうことは珍しくありません。
そのため当社では、LEDビジョンの導入時に後々の交換を見据えて、予め同時期に製造された交換分のLEDパネルも合わせて納入いたします。
LEDパネルは下地となるフレームと基盤の上に取り付けます。
前面から取り外すタイプ/背面から取り外すタイプがあるため、導入後の点検や不具合対応のしやすさを考慮して、設置方法を決定します。
事例紹介-施設への設置工事
● 専門学校
移動できるLEDビジョンもご提案可能です。
プロジェクターを置くスペースが足りない、大型液晶ディスプレイを搬入できない場所にもおすすめです。
イベント時の仮設対応フロー
会場の付帯設備やレイアウトに合わせて、LEDビジョンを設営します。
表彰式や商品発表会など、華やかで印象的な映像演出でイベントを盛り上げます。
安心してイベント運営をお任せいただくために、設営作業の安全管理も欠かせません。
限られた時間の中で行うイベントの設営作業においても、作業時のヘルメットや安全帯の装着、作業用の足場の確保などを徹底しています。
LEDビジョンは、明るすぎると眩しく感じてしまうことがあります。そのためLEDパネルの設置後、客席レイアウトや会場の明るさに合わせて照度を調整します。
同時に、LED素子の抜け(点灯していないLED素子が無いか)や、LEDパネルの繋ぎ目が見えていないか、映像が遅延しているLEDパネルが無いかを確認します。
事例紹介-イベント時の仮設対応
● ホテル宴会場
● イベントホール
まとめ-LEDビジョン 5つの選定ポイント
1、設置サイズ・形状
導入場所や利用方法を元に、LEDビジョンの大きさ(縦横比・形状など)を決定します。
2、視認距離
視認距離が近い場合はピッチの狭いLEDパネル、視認距離が遠い場合はピッチの広いLEDパネルを選定します。
3、設置環境
設置場所は屋内・屋外か、屋外の場合は太陽光や湿度・雨風による影響も想定します。
また、大型LEDビジョンは200V電源が必要になるため、電源の確保も欠かせません。
4、常設・仮設
施設へ常設するのか、一時的に仮設するのかを判断します。
何度も仮設することが予定される場合には、常設工事を行った場合との比較・検討をおすすめします。
5、メンテナンス
導入場所によっては施設の形状により、LEDビジョンの設置方法が限定される場合があります。
メンテナンスを前面から・背面からなど、どのように行うことができるかを確認した上で、LEDパネルの選定や設計を行います。
私たちは大規模アリーナや海上の客船といった特殊な環境から、宴会場や学校まで、様々な環境で大型LEDビジョンの導入ノウハウを持っています。
LEDビジョンの導入を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
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